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小野田寛郎さんが亡くなった。

「玉砕は許されない。」
「一時負けたと見せかけたとしても日本の反撃の時の為に常に準備していなければならない。」
太平洋戦争の終戦を任務の性質上信じる事ができず、
ルバング島の山林の中30年間戦争を続けた。

昔読ませて頂いた本はとても印象に残っている。
常に命の危険にさらされていると感覚が鋭くなり、銃弾の弾道すら見えた事があると言う。
食う、寝るにも苦労する山の中、常に地元の軍や警察に命を脅かされながらの生存。
仲間は次々に命を落として行く。
許されない死を覚悟し続けた30年間。
どんな気持ちだったか。

発見当時の写真を見ると、目つきも姿勢もやはり物凄い。
日本に帰国した後、母国の変化にショックを受ける。
神の国と教えられ、その為に戦った日本はすっかり姿を変えていた。
同じ日本人に「軍人精神の権化」、「軍国主義の亡霊」といった批判までされた。
政府からの見舞金を、一緒に戦って戦死した仲間へと想い寄付すると、軍国主義に加担すると言われた。
好き好んで戦争に行った訳ではない。
どんな気持ちだったか。

そのような場所に馴染めず、ブラジルへ移住。
苦労の末、牧場を軌道に乗せる。

その後、祖国の為に健全な日本人を育成したいと、
小野田自然塾を開講。
自然の中で子供達に大切な事を伝えたいと、教育に関わり続ける。

「私は戦場での三十年、生きる意味を真剣に考えた
戦前、人々は命を惜しむなを教えられ、死を覚悟して生きた
戦後、日本人は何かを命がけでやることを否定してしまった
覚悟しないで生きられる時代は、いい時代である
だが、死を意識しないことで、日本人は生きることをおろそかにしてしまっていないだろうか」

お会いした事はないけれど、年を重ねた彼の優しい目と語り口が好きだった。
野生動物のように気を張りつめた目をして祖国の為に命懸けで戦い続けた男は、晩年祖国の事を想って子供達に大切な事を伝え続けた。
人生一貫して、その時に出来る最善の方法で全力で自分の大切な物の為に働いた。
過去に囚われず前向きに生き続けた。
「苦しかろうと、何しようと、確かに教訓的なものは覚えています。だからどうっていうんじゃない。次にただ利用するだけだ。
あの時は苦しかったなと後ろを振り向かない。今は子供たちの役に立ちたいと思うだけ。」

そんな彼が亡くなった。
一つの時代が終わった。
しかし、そんな彼から影響を受けた人は無数にいる。
彼もまた同じように、先人の記憶を彼の中に持って生きていた。
我々は人に影響を受けて、記憶を受け継いで生き、同じように世代が変わって行く。
記憶は文化や思想や習慣と言う物に熟成されて行く。
その全てが我々の中に脈々と残っている。
誰一人、死んでいない。
誰一人、無駄にはならない。
我々一人一人が、かつて生きた者達の英知の結晶。
直接記憶に残らなくても、それは生活の細部にまで染み渡っている。

社会の仕組みや常識は、その時代の環境や状況に応じて生まれる。
現代の価値観では理解出来ない事も。
その時代には必要とされて生まれたもの。
現代の仕組みや価値観をそのまま別の時代に持ち込んでも、一瞬にして淘汰されるだろう。

今ようやく、世界中の人々が繋がり合い、知り合い始めた。
今出来る事、目指せる事は、今だからこそ可能性がある。
今だからこそ戦いを終えられる可能性がある。

歴史は現象と同時に人の心を無視して見る事はできない。
我々は合理性だけで出来ているのではない。

現代の日本人はどんな生き様を見せ、どんな歴史を作るのか。
叶うなら、我々の中に生きる全ての先人の為にも、一丸となって平和を目指して行きたい。

先輩方へ、ありがとうございました。

Facebookページ 世界放浪徒然草

関連リンク
NEVERまとめ
・29年間戦い続けた「その後」の小野田寛郎さんから学ぶ、人間の在り方
※インタビュー映像や彼の言葉
http://matome.naver.jp/odai/2136322334482089601

ロシアの声
「最後の日本兵」小野田氏がなぜロシアで感動を呼ぶのか
http://japanese.ruvr.ru/2014_01_17/127435378/

東京新聞
小野田寛郎さん死去 孤独耐え30年 最後の帰還兵
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014011702000248.html

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