インディアン 平和の兵法

『敵を知り己を知れば百戦危うからず』
孫子の兵法。
物凄い言葉だ。真理を美しく射ている。

しかし、この兵法を友好の為に使ったなら更に優れた兵法になるのではないか。
『敵を知り己を知れば一戦の必要もなし』
この時点で既に「敵」は居ない事になり「友」に置き換える事が出来る。
敵が居ない状態を積極的に創り出し続けること以上に優れた兵法があるだろうか。

『敵を知り己を知れば百戦危うからず』
の段階よりも更に他と己を知る事がお互いに出来れば、互いの存在と望みと命以上に大切なもののバランスを見た上で冷静に戦いへの努力を調和への努力に切り替える事が出来る。
深く己を知れば、戦いも他を傷つける事も望まない事が解る。その為に自分にどんな有効な能力と手段があるのかが解る。
深く他を知れば、他も本当に自身を知ったなら最終的には戦いを望まない事が解る。戦いを駆り立てる人間的な恐れや憎しみや欲望の元を知れば、そのもつれを解く手掛かりを見出だせる。

孫子が至らなかった訳ではない。
これは今の時代だからこそ始める事が出来る事だ。

写真はアメリカン・インディアンのある戦士。
かつて彼らはヨーロッパから来た人々と戦い、破れた結果、彼らは悲惨な歴史をたどった。自身の伝統や言語を実践するだけで殺されたり投獄されたりして来た。現在、彼らの人口はアメリカ合衆国の人口の0.02%と言われている。

ヨーロッパ人が北米に着た最初の頃、食料不足や寒さを前に彼らだけでは生きて行けない所をインディアンは助けていたという。
しかし、ヨーロッパ人が余裕を持ち始めると、突如として土地を我が物と言い、戦争をしかけたり虐殺をしたりし始め、彼らの信じる物を悪魔信仰だと断じて迫害した。

残念ながらこれは史実だ。
なぜこんな事が起こってしまったのか。
お互いに敵も己も十分に知らなかったせいではないか。
白人の新しく入植してくるの人々の多くは、インディアンが野蛮な悪魔信仰の原始人だと吹き込まれ、信じた。もしもあなたがこう吹き込まれ、目の前にこの写真のような姿の言葉も通じない人物が現れたら恐れずに居られるだろうか。致命的に他を知らない状態だ。
白人の指令クラスになれば、事の成り行きや歴史の事実を把握してなお欲に駆られて、もしくは命令のままにただ戦いを続行した人も居ただろう。それで人間として死の間際に自分を祝福出来ただろうか。幸福な人生だっただろうか。致命的に己を知らな過ぎる。

この悲惨な歴史に加担した多くのヨーロッパから来た人々は、この写真の民族が類希に見る平和的思想の持ち主で、優れた社会の仕組みを作り上げ、更に慈悲と愛を持って海の向こうから来た兄妹と恵みを分かち合いながら共存する気持ちがあった事を想像もしなかっただろう。
彼らの思想や心を知ってこの姿を見ればこの写真の人物はどこまでも美しい。

インディアンの人々は、ヨーロッパ人がどんな歴史をたどって来て、なぜ見知らぬ物を恐れ、多神教を絶対に受け入れようとせず、それによってどれだけの血を流して来たかなど当初は知るよしもない。

彼らは互いに知らなかった。
知る事が出来れば全て解決出来る訳ではないが。流れる血は圧倒的に少なかったはずだ。
現に今では、人種を問わず、宗教を問わず、インディアンから学ぶ人は世界中に大勢居る。
どの人種が生まれながらに残虐だという事はない。
世界中の赤子を見ればそれは明らかだ。
手放しで泣いて愛を求め、世の中の面白さに無邪気に笑う。

過去の事はもう起こった。
我々は学んで前に進むだけ。

現代では昔は大衆が「知る」事が出来なかった事を「知る」可能だ。
インターネットが発達し、現在使われている言語は何でも学ぶ事が出来る。
デマも多く飛び交うが、冷静に全体を見ればぼんやりとした全体像が見えてくる。
その中で確実な情報、五分五分の情報、信憑性の低い情報を同時に選り分けて、全体像を見極める鍵になる一点の情報は自分自身の目で見て確かめていく。
それが人類の主流になれば「一戦の必要もなし」は実現する。
それが今やっと出来る時代が到来した。

他を知り己を知る事が人類全体で深まれば、戦う必要がない事は自明の理。
どの土地に行っても「友」しか居ない事は世界を周りながら自分の目で確かめて来た。
これからの時代は、戦いを始めざるを得ない状況に追い込まれる事自体が人類全体としての大いなる敗北と言える。

『敵を知り己を知れば百戦危うからず』
「敵」を「友」とし
「百戦」を「戦わずに調和する挑戦」とし
これを危うさ無くこなしていく。

『友を知り己を知れば一戦の必要もなし』

これがこれからの人類が肝に銘じるべき兵法であり、力と権利を大きくした人類という種としての避けられない新たな責任だ。

話題に挙げた孫子やヨーロッパ人、インディアンを含む全ての先人に敬意を表しながら、決意を新たに前進していこう。

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