日記

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【聖地・温泉】

歩き始めて以来、
毎日、同じところに水ぶくれができる。
寝る前にそれを潰すのが日課になっている。
今日はついにそこから出血してきた。

だんだん歩き方が、C-3POのようになり、
さらに、腰が曲がってきて、
いつかネパールの村で見た老婆のようになってゆく。
精神力の問題ではない体の機能限界を思い知る。

そうしてようやく温泉にたどり着く。
痛む足首や肩から服を剥ぎ取り、
崩れ落ちるように、湯船に浸かる。
爆発的な癒しの衝撃に気絶しそうになる。

隣に座ったおじさんが話しかける。
70歳くらいだろうか。

「どっから来た?」

「北海道から。沖縄に向かって歩いています」

「歩きってか!はぁー!」

「この辺りは田んぼが綺麗ですね」

「んだ。この辺りは水が綺麗だから米もうまいぞ。」
「川の水を汲み上げるようなところでなく、山の綺麗な水があるところがやっぱりうめぇ」
「品種も日本のはすごいぞ」
「海外のような偶然でねく、研究して作ってるからうまいんだ!んで、勝手に交配してしまわねぇように地域ごとに品種を決めるんだ。農薬なども全部マニュアル通りにやらなければうまくいかねぇんだ」

「すごいですね!」

「日本ほど何でもうまいものがそろってる国もないんでねぇか?」
「よその国の人はよく毎日同じようなもん食ってられるな」

「確かに。インドなんかは毎日カレーですね」

「しかし、日本も昔は何もなかったなぁ」
「カレーなんかも、カレー粉が高いから、小麦粉を水に溶いて火にかけて、焦がして色とこおばしさ出して、ほんの一つまみカレー粉を入れんだ。肉なんてないから玉ねぎとじゃがいも専門だ!」
「昔はテレビすらなかったしな!村に二、三台しかないから、よくテレビがある家に隠れて窓から見に行った」

「大きな変化ですね」

「旅もしやすくなったなぁ。色々行くならあんたみたいに若いうちでねぇとダメだ!」
「いろいろな人と会って、全部自分の身にして、人に役立ててくれよ」
「人に嫌われるような人間になっちゃダメだぁ。」
「人の役に立って、人に好かれる人間になるんだぞ。」

「必ず。ありがとうございます。」

裸の付き合いはいつも温かい。

「山形には全ぶの市町村に温泉があるから楽しんでけよ!」

温泉の回復効果には驚愕する。
関節も皮膚も楽になっている。
本当にありがたい国だ。
もう10km歩いて、テント張って寝よう!

現在、山形県 尾花沢。

明日もいい日になる。

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