世界について

【世界の危機と日本の希望】

伊藤研人

人と人との絆が弱まり、
「愛よりお金だ」という声が聞こえて来ます。

今まで、信頼、愛情による人間関係のおかげで成り立っていた生存が、
今では、お金で成り立っています。
そのような社会では、当然なのかもしれません。
しかし、もっと多くの人が笑顔で生きられる社会を諦めたくありません。

人々の不安の声を聞き、
政治は「経済」ばかりを優先し、
社会は表面だけ効率化されながら、
人々は「心」を失ってゆきます。

「進歩」も「成長」も素晴らしい。
しかし、それだけが本当に人の歩むべき道でしょうか。

国が興こっては滅びる。
歴史上、世界中で繰り返されてきました。
栄華を極めた大国が滅ぶ時、
そこには何が起きたのか。
必ず「心の乱れ」がありました。

人を愛し、志を立てて、
国を興し、徳を持って政治を行う。
要職には、熱心で人を想う者をつける。

しかし、時間が経ち、世代が変わり、初志は忘れられて、
私利私欲に走る者、自らの地位や組織を守るために動く者が増えてきます。
富める者は、欲を満たすため、自らを守るために富をますます蓄えます。
その数が大勢を占めた時、民を想う人々は政治や経済から退けられます。
しかし歴史上、それが彼らを滅ぼすこととなりました。

「利益」「富」を最優先する国の権力者は、
どれほど力を蓄えても、
同じ価値観を持つ者が周りを占めるために、
上位者の富や力を奪い取ろうとする家臣や、
それを恨む民衆に滅ぼされました。
その時、国は大いに乱れます。

それは世界中で幾度となく繰り返されてきました。

国は「心」を正すことなくして治りません。
世界中を見れば実際に、
「徳」を持って国を治めた地域が長く国を保ってきました。

日本もそのような国の一つに挙げられます。
仁徳天皇の逸話はあまりにも有名です。
宮から国土を眺めて、民のかまどから煙が立ちのぼらないのを見て、
数年間、税を免除しました。
衣を新調することなく、宮は荒れ果てました。
しかし、民のかまどから煙が立ち上るのを見て、
「私は豊かになった」
「政治は民が本だ。民が富むことが我が富だ」
と言ったといいます。
その後、しばらくして税を取ることを許した時、
民は自ら喜んで宮の修復をしたと言います。
その信頼関係があってこそ、宮の塀は低いままで、国が保たれてきました。

これはただの一例ですが、
そんな日本は国家として世界で一番長い歴史を持っています。

今も残る国、滅びた国や民族でも人の道を大切にしてきた人々が世界中にいます。

しかし、隣国が経済に走り、軍備を整えて侵略に備えれば、
自らも、国力を上げて国防に当たらなければならなくなります。

産業革命、大航海時代、世界大戦、
資本主義、社会主義の対立を経て、
世界中で、生存のために、
「心」をないがしろにしてでも、
「経済」を優先しなければ生き残れない流れが起こりました。

そのようにして、
近代では世界中が入り乱れて、
戦争や経済競争が繰り返されてきました。

そして、現代ではどうなっているでしょうか。
すでに世界全体が、かつていうところの一国のようになっています。
今では、かつて日本で隣の藩に行く程度の時間と費用で世界の反対側に行くことができます。
世界中の人々とリアルタイムで会話することができます。
そして何より、大企業は世界を股にかけて利益を上げています。
世界中が繋がった経済の中、人類の間で果てしない格差が広がっています。

それを象徴するように、
現代の世界でいちばんの大国であるアメリカでも格差が広がり続けています。
それに伴い、大統領選において、
ドナルド・トランプ氏が中流階級以下の多くの人々の支持を集め、
自らを社会主義者であるとするバーニー・サンダース氏が驚くべき注目を受けています。
ハーバード大学が18歳から29歳の若者に対して行った調査では、
51%が資本主義を支持しないと回答しています。
これは驚くべき事実です。

パナマ文書が流出し、世界中の一部の実力者の立場が脅かされる事態が起こりました。
中東の情勢悪化で増大する難民は行き場を失い、ヨーロッパでは問題が立て続けに起きています。
日本でもここ数年、立て続けに大企業が利益のために人を欺き、信頼を失いました。
中国、アフリカ、中南米、オセアニア、世界中が急激な変化の中にあります。

この現象が、世界をいい方向に導くかどうかはわかりません。
しかし、これだけは確実です。

もうこれ以上、「心」よりも「利益」を求める社会では、世界が持ちません!!
現代では、その「心」に端を発して、環境破壊までもが大問題になっています。
このままでは、これまで繰り返された国々の興亡ように、
世界の仕組みが破綻し、さらにそれにとどまらず、地球の生態系の仕組みまでもが破壊され、
人々が生き残れないほどの破壊が起こりかねません。

それを防ぐために、我々は「心」と向き合い、「競争」ではなく「調和」を作らねばなりません。
これは数千年、数万年前から叫ばれていたことです。
しかし、人類にとって始めて、
世界中の一人残らず全員にとってこの問題が他人事ではなくなっています。
我々の子供が笑顔で生きられるかがかかっています!
我々全員で取り組まねばなりません!

しかし我々一人の力は弱い。
何ができるのでしょうか。

私は、世界中を見てきてつくづく思います。
これからは「調和」が求められる時代だからこそ、日本にこそ希望があると!
「調和」、これは日本人がずっと追求してきたことです。
世界中の「心」を持って国を治めていた人々が大切にしてきたものでもあります。
近代では、それらは競争原理に押しつぶされてきました。
しかし今、世界中が危機を感じるとともに、人々はその必要性を叫び始めています。
先に挙げた、ハーバード大学での調査結果はそれを表しているのではないでしょうか。

そんな、世界中が必要と感じているものが、
これまでの日本の歴史の中にふんだんに含まれています。
「三方良しの商道」
「為政者が利益や欲を恥じる文化」
「エコな社会システム」
「和の心」
これほどに、現代の世界で必要とされている先進的なものはありません!

かつての日本が完璧だったわけではありません。
しかし、世界に提供出来る有益な宝を持っていることは間違いありません。

我々一人一人の力は弱く、
世界は考えを及ぼすにはあまりにも広い。
ならばまず、日本をみんなで盛り上げませんか!!

古きに学び、これからの時代を見据えて、最先端の技術を交え、
これからの世界に必要な文化を日本で改めて起こしましょう!!
日本がその大義に向かって立てば、世界に大きな影響を与えます。
日本の若者はその志に燃えて、生きがいを持って必死に活動するのではないでしょうか。

もしもこのまま、日本までもが、
愛情や、絆、心をないがしろにして、
利益ばかりを求めつづければ、
短期的に得をしても、その先は国も人も持ちません。

まず、それに気づいた者から、
日本人が美徳としてきたものをもう一度見直して、
日本を心から豊かに暮らせる国にするために力を合わせていきましょう!

できることから少しずつやっていきませんか、
意識的に人に優しくしてみたり。
日本独自の美しいものや、考え方を学び、身近な人に伝えてみたり。
日常の会話を、日本のために、世界のために何ができるかという内容に少しずつ変えてみたり。
そんな一人一人の行動が火種となって、
きっと大きな変化が起こります。

それが日本を変え、
それが地球という一つの大きな国にいい影響を与えられる。
心からそう信じています。

変化は力のある誰かが起こすものではなく、
一人一人のわずかな変化から起こります。
なぜなら、誰に力を与えるかを決めるのも、
やはり、一人一人の意識だからです。

何か問題があっても誰かのせいにはできません。
我々、一人一人に責任があると共に、改善する力があります。
希望を見出して、社会をその方向に向かわせる力は我々一人一人にこそあるのです。

日本だけが素晴らしいわけではありませんが、
日本の特徴を最大限に生かして、世界に活かすことが出来る時代が来ています。
世界中が繋がった社会で、「心」や「人の道」を大切にしながら、
人々が生きられる現代の世界文化や、
環境、仕組みをもたらすために大きな役割を担うことができます。

そのために最善を尽くすこと、
それが我々一人一人の幸せにもつながっていると信じています。
共に素晴らしい未来を思い描いて、行動していけることを心から幸せに思います。

長文を読んでいただき、
心から、ありがとうございました。

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