旅について

『小さな人の旅』

アリゾナ

旅はいい
自分という存在の小ささを教えてくれる

自分の小ささのあまり
その自分が持っていた思い込みも
何も考えずに従っていた社会のルールも
どれだけ小さな物か思い知らされる

命を拘束する義務も
立派な使命も
幻想に過ぎない

自分は小さすぎてそれらの網の目を通り抜けて行く

どこまでも小さな自分は
義務にも
使命にも
常識にも
生死にも
そのどれにも囚われずに歩き始める

そうして初めて気づかされる
小さいが故に
自分は完全に自由で
だからこそ、この世の全ては自分の責任

空っぽの自分の中に
完全に自由に
すべて自分の責任で
世界を創りなおしていく

何かを妥協する必要が在るほど大層な物じゃない自分
心の在りたいように在るにはどんな世界を創るか
人々の笑顔
美しい自然

その為に自ら義務や使命や常識や生死を創り出す
そうして社会に還ってくる

守るルールは大して変わらない
しかし、自分の決断で、すべて自己責任で道を決める
自分の内面世界と外面世界の結び目を道にする

その道を行く限り
その道に終わりは無い
その道に途中も無い

小さいが故に
自由に
妥協無く
後悔も無く
大きさにも囚われず
ただ自分の決めた道をゆき
内面と外面の中庸をとり
生を受け入れ
死を受け入れる

旅はいい
自分を空にして
一周して戻ってくると
また一段高い所で
自分の命が自分に近づいている

海へ
森へ
山へ
空へ
砂漠へ
すべての瞬間に
自分が溶けてまた生まれる

世界は美しい
ありがとう

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