命の道

風が草原を揺らす
道は地平線の彼方にかすんできえる

後ろを振り返れば来た道が見える
けれど時間と変化の中でそれはもう
あの頃のあの道ではない
この存在は
時の流れの中で
常に今という一点に孤立している

目をこらしてこの道の先を見る
この歩みを止める為に歩いている訳ではない
どこかに辿り着けば旅が終わる訳ではない
何かを探しながら
どこかでそれが見つからない事を願っている
それが何かもわからないのに

今はただ歩くだけ
昼は道端の花の歌に耳を傾けて身近な愛情を感じ
夜は星々に包まれて大いなる冷たい愛情に身をさらす

眠ればまたあの夢を見る
そうして一つの笑顔の為に人は死ねる事を知る

そうと知りながらも
まだ死ぬ事はない
まだ死んではいない
死が生に依存するように生は死に依存する

死があるからこそ歩く事ができる
終わりが約束された時に
時間は命を持つ
死が命に動きを与える
そうしていつか自由に微笑んで死んでゆける

また目が覚めて
小さな一生が始まる
地平線の彼方から
海の向こうから
砂の一粒の中から
心の奥深くから
聞こえてくる声に耳を傾けながら
また小さな死が訪れるまでのあいだ
孤立した今という一点の中で
幸運に感謝しながら
形のない終わりを探して
また一歩
一つの時の命を燃やす