大切な物を失なう度に
大切な物を思い出す
寂しければ寂しいほど
ささやかな美しい物が語りかけてくる
苦しめば苦しむほど
人に優しく出来る心を与えられる
傷つけば傷つくほど
大切な物を大切に出来る
大丈夫
本当は何一つ失えない
失ったように見えるのは
無くなったように見えるのは
ただ、うつむいて周りが見えなくなっているだけ
たまに座り込んでも良い
ただ忘れないで
本当は何一つ無くならない
顔を上げれば、それは違う形で今もそこにある
空腹が、食への感謝を持たせてくれる
疲れが、眠りの至福を教えてくれる
孤独が、人の温かさを教えてくれる
生が死を、死が生を教えてくれる
本当は
何一つ失えない
何一つ無くならない
あらゆる物が形を変えて
ただいつもここに在る
理由はいらない
意味もいらない
世界はいつも美しい