人種について

人種差別と日本のこれからについて

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『人種差別と日本のこれからについて』

和服で西洋文明を見て回った今、人種差別について何よりもまず日本の皆さんに言いたい事。
『人種差別をよく知った上で、人種差別なんて気にしないでほしい。』
「知る事」と「気にかけない事」、この二つはどちらも欠かせない。
これらは相反する事のように見えて、片方を行う為にもう片方が必ず必要なものだ。
少し寄って、聞いて行ってほしい。

まず、人種差別は実際に存在する深刻な問題だ。日本に居るとなかなか実感出来ないかもしれないけれど、絵空事ではない。しかし、それと同時に今現在は恐れる必要がない物だ。

近代に至るまで、西洋文明では「人種差別」は「考え方」や「主義」ではなく「常識」だった。
アフリカの人々を捕えて奴隷にしたり、動物園のように飼育して展示したりしていた。
北中南米の先住民を大量殺戮しながら侵略した。
アジアも植民地化され搾取の対象でしかなかった。
「白人が最も優秀で、他の人種を支配すべき存在。」
かつて、これは単なる常識だった。
現代文明はそういった西洋人がリードして出来たものだ。
今では独立国家と見なされるアフリカや南米の国々の政府の成り立ちは、現代でも未だに西洋支配の影響を色濃く引きずっている。治安が悪く、経済も不安定な最大の原因はそこに有る。
日本もそれを引きずっているからこそ、教科書でもニュースでもアフリカや南米の情報は少なく、日本の近代史も曖昧なまま流してしまう。しかし今は、その程度の情報操作で日本の民衆を騙せるほど甘い時代じゃない。

どの時代でも、西洋人の全てがそう考えていた訳ではない。
ただ、国や集団がその方向に動くのに十分な人数にとって差別が常識だった。
しかし、西洋人の中でも人種差別に反対する人々が時を追うごとに増えていった。
そして、今では個人としては全く気にならないほどになった。
現代では、反人種差別が西洋社会で常識になっている。

その陰には多くの人々の努力が有る。
日本は第一次世界大戦後に人種差別撤廃提案をし、世界で初めて国際会議で人種差別撤廃を主張した。当時はそれにアメリカ合衆国や英国などが反対し否決されたが、その後に歴史に大きな影響を与えた。
人種差別に立ち向かったガンジーやキング牧師などは誰でも知っている。
そういった歴史があって今、世界の現状がある。

自分自身、黄色人種として西洋人と生活を共にし、各国を旅する中で人種差別を受けた経験はほとんどない。
今となっては西洋諸国の中では人種差別をする人間は低俗で恥ずかしいという風潮すらある。
有識者であればあるほどその傾向は強い。
今では、人種差別をすべきではないという事が常識になっている。
万が一人種差別をするような人間に出会ったとしても、それは残念ながら今の時代では非常識でその程度の教養も持ち合わせる事が出来ていないと、身内からも思われてしまうという事になる。それはその人自身の不幸であり、差別をする人に同情はしても、気分を害する必要は無い事だ。
少数ながら、自分と人種差別的な態度で接してくる人もいた。しかし、彼らはただ「知らない」だけだった。見た目の違う中身の分らない存在。それを子供のように阻害しているだけ。ある意味単なる動物的行動。親や環境の影響もある。だから現代の人種差別主義者には外界との接触が少ない地方の出身者が多い。けれどそういった人でさえ、しばらく話をすればそんな考えは消える。ただ同じ人間である事、違いはあってもそれは個性で、どちらが劣っているという訳ではないという事を感じさせればいいだけ。それで人種差別の幻想は消えてしまう。
これほどまでに、気にする必要がない事になっている。

人種差別主義者でない人には最初から対等でいる方が全てがスムーズ。
人種差別主義者にも気付かせる為には気にせず普通に接する事が一番。
どちらにしても気にする必要が無い。

もはや現状は人種差別の可能性を想像する事すら野暮。対等で当たり前。
現代ではこれが最も合理的な姿勢だ。
西洋人に対してはそういう気持ちで接するべき時代だ。

しかし、最初に述べたように、気にしないにしても人種差別の歴史や現状についてはよく知らなければならない。
なぜなら、個人で人種差別をしないとしても、国家間の問題となると話は別だからだ。
今は思想の上で人種差別は否定されているが、国際社会の仕組みとしては、変化が追いつかず、過渡期と言っていい現状だ。
現代でも国を成り立たせる為に、かつて人種差別主義者が中心になって作って来た西洋国家に有利な世界的な仕組みを手放せずにいる。今はもうかつて人種差別主義者がいた場所の抜け殻に、利益だけを求めて個人主義者が群がっている。人種の事など気にもかけず、ただ得をするからとその場に立って、その気は無くても結果的に人種差別的な行動をとっている。そこには先進国日本の姿も見える。
悪気は無いとしても、知らずに人を殺す事のなんと悲しい事か。
心の優しい人々が、後進国の為にと募金などをしながら、日々の生活のなかの様々な行動で、気付かぬうちにかつて人種差別を受けて苦しい立場に追い込まれた人々をさらに飢餓や紛争や死に追い込むことに助力している。

自分は家族を愛するように自然にご先祖様に感謝をしている。
だからこそ、こう考えずにはいられない。
かつて有色人種には希望がないようにすら見えた世界情勢に真っ向から相対した日本人の先輩方はどんな気持ちで生きたのか。彼らのお陰で今の我々日本人、そして有色人種の今が有る。
彼らからは今の我々、日本人の姿がどう見えるだろうか。

今、前に進む為に日本人として現状を認めようではないか。
今、我々日本は経済というもっともらしい言葉をいい訳に、弱い物いじめを黙認し、そしてそれに加担している。一人一人は日々の生活などをいい訳にしてその現状を見て見ぬ振りをしている。無意識に個人主義の人種差別実践者に成り下がっている。
日本民族はこんな程度ではないはずだ!!

そして、日本は西洋文明支配の影響も色濃く受けている。
特に太平洋戦争以降はアメリカ合衆国などに教育やメディア、エンターテイメントなどを通して洗脳を受けた。
これは、別に陰謀論とかそんなレベルの話ではなく、歴史、現状、人間の性質から見れば当然行われる事で、行われた事だ。喧嘩して屈服した相手がまたかかってこないように工夫したまでの事。
しかし、これは我々にとっては誰のせいでもない。自分のせいだ。
洗脳されたいから洗脳されたのだ。
誰にでも明らかな粗末な方法でも十分だった。
洗脳された方がが楽で心地がいいから。
自分で選んだ。
悪い事じゃない。
ある意味自然な事だ。

これらをまず認めよう。
認めた上で日本人として進む為にこう言おうではないか。
「ありがとう。もう十分です。」

もう今や、こんな幻想誰にでも底が見える。
心地よく洗脳してくれた人々も、結局は所詮人の子で、世界の舵取りも大してうまくはない。
支配者の不甲斐なさのせいで人類揃って破滅に向かおうとしている。
戦争、核、汚染、食糧難、気象変化、自然破壊、宇宙兵器、その他、どれがどう出るかは分らないが、このままでは長くない。
おとなしく従っていた方にも同等の責任がある。
この現状で、自分の為に洗脳された振りをして他人事でいるのは無責任だ。
自分自身だけの生き残りの為にすらならない。

今では自分を守る為に、自分を守るだけでは不十分だ。
国を守れなければ自分を守る事は出来ない。
人類を守れなければ自分を守る事は出来ない。
自然のサイクルを守れなければ自分を守る事は出来ない。
昔とは違って、一人一人がこれら全てを気にかけなければならない。
これは不用意に技術を発展させた人類の当然の義務で、放棄すれば破滅する事になる。
今や、「無関心」は「中立」ではなく「破壊者」に自動的に仕立て上げられる仕組みになっている。
とことん自己中心的考え方をするとしても、国や人類や環境の事を考えなければ自分すら守れない。

その為にまず今すぐ実践出来る力は無関心をやめて「知る」事だ。
大多数が羊を卒業すれば羊飼いは要らなくなる。

そして、精神的な面だけでの反人種差別から、さらに過渡期にある社会の仕組みをいい方向に変化させて対等な物にして、各国が本当の意味で独立できるよう努力をしなければならない。それがなされなければ人類は共倒れだ。その為の教育が急がれる。

その為に日本はまず、今あるアドバンテージをその為にこそ使って行くべきだ。
日本は個人、国家共に人種差別をよく理解しながら、気にはせずに対等に付き合い、物事が最善に向かうように全力を尽くす。
それこそが、人種差別が国際的常識だった頃に国家として初めて異論を唱えながら、近代ではいつの間にか結果的に、部分的に加害者になってしまっていた日本の、今行くべき方向ではないか。

旅の中で、人種差別を受け無いどころか、着物を着ているから日本人だと一目で分かるお陰で厚遇される事が多かった。礼儀を持って扱われた。「日本人は頭がいい。」という言葉は、どこの地域でもかけられる。
それは日本人の持つ美徳によるものだ。この信用は先人の残した宝だ。
客観的に見て、日本人は賢く、民度と言われる物も高い。
それは誰にでもある長所と短所という個性の一部だ。
日本人は外から学ぶと同時に、謙虚な誇りを持ってこの美徳をこれから海外の人々にも伝えて行かなければならない。
そうしなければ歴史という記憶と日本人の魂を持ちながら堂々と生きられない。
今また、日本人は人種の壁を越えて、人類の為に一肌脱ぐべき時だ。

自分の為、人の為、生命のサイクルの為、先の世代の子供達の為に。

読んで下さって本当にありがとうございます。
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