現在モロッコ、サハラ砂漠。
アイスウォーター・チャレンジをご指名頂いた。

正直、最初はやるべきか迷った。
ここは砂漠。水をそんな風に使ってもいいのだろうか。

そこで、現地のベルベル人のおじさんに聞いてみると、
「水?豊富だよ!でも頭から水かぶりたいなんて変なやつだな!はっはっは!」
完全に予想外で、驚きと共にもう一度尋ねる。
「砂漠なのに水が豊富なの?」
おじさんは笑って答える。
「ここは、1、2メートルも掘れば水が出る。お前らの住む土地と違って水は地中の浅い所に留まってすぐには無くならないんだよ。お望みならいくらでもぶっかけてやるぞ!はっはっは!」

砂漠だから水がないだろうと思ってた。
けれど今回は完全に勝手な思い込み。偏見だった。

もちろん砂丘の広がる砂漠のまっただ中は砂の層が厚く、水に到達する事は難しい。
しかし、人々が住むこの土地は平で標高が低く、砂丘のすぐ横で水が簡単に手に入る。
そんな事も、この機会がなければ知らずに過ごす事になっただろう。
巡り合わせとは面白い。

「じゃあ、ちょっとそのバケツ借してもらってもいい?」
「あー、もってけ!」

せっかくなので、この辺りで一番高い砂丘の頂上で敢行。
どこまでも続く砂丘。
静寂の中の風と砂の音。
ここも美しい土地だ。
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調べてみると、アイス・バケット・チャレンジに対する批判の多さに驚いた、他の様々な取り組みと比べて特に素晴らしい活動と言う印象はないけれど、批判するほどの事ではないのではないだろうか。
強制力がある訳でも、悪意がある訳でもない。
自己判断が出来る「大人」相手に「寄付」を呼びかけている。
これをきっかけにALS(筋萎縮性側索硬化症)について知るきっかけを持つ人もいる。

「水が簡単に手に入らない土地の人もいるのに、水を無駄にすべきではない」と言うのは少し違和感を感じる。
水は循環するもので、頭からかぶって消滅するものではない。
深刻な水質汚染を助長するものでもない。
南国では、日本で高価なマンゴーなどが生えっぱなしで、土に落ちて腐るなんて日常茶飯事。土に還り他のもになっていく。悪い事じゃない。
けれど、日本で子どもがマンゴーを投げ捨てたらきっと怒られる。

水が豊かな日本では「湯水のように使う」なんて言葉があるほど、水に恵まれている。
他国では風呂に水をためる所はほとんどない。
シャワーに時間制限がある土地もある。
日本人が水を頭からかぶる事が、悪い事だとは思わない。
ただの悪ふざけに見える事もある。
ならば、プールは、水鉄砲はどうなるのか。
悪意のないただの遊びだ。
批判の対象になるだろうか。

このムーブメントは特に素晴らしく尊い事だとも思わないけれど、批判するほどの事ではないのではないだろうか。

この活動によってALS(筋萎縮性側索硬化症)が多くの人に知られるきっかけとなった。
しかし、善くも悪くも、二度目はない。
同じ方法で他の大切な事を広く知らしめる事はもう出来ないだろう。
目新しさや面白さがこの活動の広がりを助けた。
本当に大切なのは、こう言った一時的な現象ではない。
普段から大切な事に関心を持ち、自分で考えて行動する事。
批判し合ったり、いがみ合ったりせずに、日常的に大切な事に目を向けて建設的に考え、話し合えるようにすること。

そして、何の問題もなくこれを出来る人や、楽しんで出来る人も居れば、氷水をかぶる事をストレスに感じる人もいる。
きっと、このチャレンジに参加した人数がそのまま、日々周りの人にほんの少しでも意識して優しくする方が、ずっと効果的な方法だろうと思う。

これも時代の変化の象徴の一つ。
インターネットが思わぬ形で世界中を繋いだ。
力が大きい分、責任も大きい。
ここに成熟した心が伴って、美しい循環が広く高速で起こる事を願ってやまない。
そして、この現象もそれに至るプロセスの一つとなる事を願う。
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初めて英語で読み切った本はALS(筋萎縮性側索硬化症)を患う人物についての物語でした。
死と生、愛と家族について深く考察した素晴らしい本です。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)がどんなものなのか、本人は元より家族や友人はどうなっていくのか、知る為にも最適な本です。
「モリー先生との火曜日」
http://www.eonet.ne.jp/~okajimas/sub036.html
日本語版は読んだ事がないけれど、オススメの本の一冊。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患う理論物理学者、スティーブン・ホーキング博士の本も子どもの頃何度も読んで勉強させて頂きました。
彼の本も物理学に興味があるけれど、触れた事があまりない人にはオススメです。

あらゆる事が、あらゆる機会を与え合って、係わり合いの中で世界が出来ている。
笑顔で過ごせる人が一人でも増える事を祈って。

ご指名下さり、本当にありがとうございました。
いい輪になると考え、好意を繋げて下さった事、嬉しく思います。
次に誰も指名しない事をお許し下さい。

いつもありがとうございます。