ピラミッドはやはり雄大
古代から変わらぬ姿で乾いた大地を見渡している
どんな気持ちで人々の営みの変化を眺めて来たのだろうか
かつてファラオが奴隷を使役して神のの名の下に築き上げた壮大な建築の数々
現在は金銭が神となり
建造物も埋葬品もファラオのミイラまでもが人々が金銭を得る為の奴隷のように扱われている
諸行無常。
常に究極は究極に跳ね返る。
革命直後で情勢は未だ安定を見せず、デモが頻発する。
カイロの街には戦車が並ぶ。
日本の感覚からすれば、廃墟と呼ばれてもおかしくないような建物で溢れている。
街中に捨てられたゴミの一部は、川辺に無造作に集められる。
大気汚染が深刻化し、空気が白く濁る。
渋滞は慢性化し、クラクションが聞こえない瞬間の方が少ない。
それでも人々は明るく、よく笑う。
重要な事は、「その人が幸せかどうか。」
安易な考えでもっとこうした方が良いなどとは誰にも言えない。
違う環境に育てば分らない価値観もある。
彼らはよく笑い、自分の国が好きだと言う。
ただ、それでもどこか満たされない想いを秘めているように感じる事がある。
また、深刻な環境汚染とも向き合わなければならない。
広い知識を持ち、様々な事を考えているエジプト人と話をする機会をいただいた。
彼は言う。
「30年間の独裁政権で、人々をより簡単に従わせる為に教育が破壊された。
政府は知識者に批判される事を恐れたから、知識者を教育の質を落とす事で減らして来た。
エジプトは教育さえ改善されれば、以前のように秩序と教養を持った国民を持つ事が出来る。
その為には、今は強い力と能力のある人物が専政的に政治を行う他道はない。
民主主義のままでは我々は自らを律して、国を安定させる事は出来ない。
それほどの教養も先見性も国民の多くは持ち合わせていない。
強いリーダーがしっかりと国を建て直して一人一人に教養とモラルがついた時に民主主義に切り替えるべきだ。」
現在、世界はダイナミックな変化を見せている。
民主主義はどこの国でも行える正義ではなく、衆愚政治になる危険を常にはらんでいる。
資本主義は先進国に有利に働き、格差を広げ、際限ない消費が地球益や人類益を食いつぶして行く。
社会主義は人々の抑圧を引き起こし、物質的発展を阻害する。
グローバリゼーションは今まで価値観の統一を図って来たが、その無理が世界中で次々に表面化して来ている。
エジプト人は言う「我々は今この瞬間、政治に関する発言権も、民主主義も求めていない。ただ良い政治家が政治を行って国を豊かにしてくれるなら、何かを強制されてもいい。その上で自分の生活に集中したい。」
主義や政治の仕組みは社会の状況によって変わる。
何が優れていて、何が劣っている訳でもない。
「今この瞬間から教育の改善を始められたとしても、国を建て直すには30年はかかるだろうと思う。」
先の革命が、新しい時代の象徴とも言えるインターネットに端を発したと言う事も印象的だ。
世の中は変わらずにはいられない。
日本はこれからどう変わって行くのか。
ただ濁流に翻弄されて変化したいのか、操舵技術と先見の明を備えて積極的に変化して行くか。
何が吉と出るか凶と出るかは誰にも解らない。
ただ、不安と共に無為に人に決められた安全な時間を過ごすよりは、固定観念を脇に置いて、積極的で前向きにもがいた方が楽しい。
「国」単位で考え始めると、「個人」や「人類」、「環境」の事が疎かになってしまう事もある。
どの側面も疎かにすべきではないと同時に、それぞれが密接に係わり合っている。
そのバランスも忘れてはならない。
幾つもの側面を持つ存在として、変化の中で冷静にバランスを取らなければならない。
日本にはどんな可能性があって、これから何が出来るのか。
個人の夢と、共同体の夢。
正解はない。
ただ、そういった事が日常の話題になれば、決めつける事無く意見を交換し合えれば、世の中更に面白くなる。
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