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思い立って、ギリシャの島へ行く事にした。
地中海の温暖な海岸。
久々に海辺で星でも眺めながら寝よう。

船に乗り込むと、やはり海。
色々な事を思い出す。
いつも誰よりも自由と責任、そして命を感じさせてくれる。
ヨットレースをしていた頃、ダイビングのインストラクターをしていた頃、もの言わぬ海に多くを教わった。
そして今も、たまに顔を出すと変わらずに包み込んでくれる。

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島について浜辺を歩いていると、浜辺にテントが見える。近くに人影もある。
(同じような事を考えている人がいるみたいだな。)
なんて思いながら歩いていると白髭にカウボーイハットの老人だった。
挨拶をすると、「どこから着た?ちょっと寄ってけよ!」
テントの横に椅子とテーブルがある。
座るように促される。
「俺はクレタ島から来たんだ。今はこの島に住んでる。」
かの有名なクレタ島。ここからすぐ近くだ。
クレタ島のチーズと手作りワインでもてなしてくれる。
自分も午前中に会っていた人にもらったお菓子を出す。

今まさに沈んで行く太陽を見ながら浜辺で乾杯。
最高だ。
これが幸せってもんなんだろう。
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「俺は家もあってここか家のどっちか気の向いた方に寝るんだ。俺は家に帰るから、テントで寝て行くか?」
ありがとう。
しばらく色々な話をする。
「やっぱり家で二人で寝よう!魚買っていって一緒に食おう。」
浜辺で星を一人で眺めようと思って来たけど、それもいい。

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暗い道を二人で歩いて港へ。
おじいさんは小さな漁船に乗り込んで行って世間話をしながら魚を買ってくる。
「いくぞ!乗れ!」
二人乗り。日本で言うマウンテンバイク。足を置く所は殆どない。
懐かしい!!!!!
何年ぶりだ!笑

島の田舎道。
おじいさんの両肩に手を置いて夜風を切る。
足は痛いが気持ちがいい。

20分ほど経って家に到着。
二匹の犬が出迎えてくれる。
家は小屋のような物で、非常に散らかっている。
食器類は全部使ったまま放置してある。
そしてそれをそのまま使う。
水道がない。

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飲み物をすすめてくれる。
「グラスの乾いて黒くなってるのはコーヒーだから平気だよ。」
まぁ、何だとしても、猛毒でない限り死にやしない。
「ありがとう。」

「料理しようかな。」
フライパンにはなぜか鎖と水が入っている。
小屋の床にそのまま水を捨てる。
ベットの上に携帯コンロを置いて魚の揚げ物を作り始める。

出来上がって食べ始める。
皿もスプーンもフォークも汚れをてではらっただけ。
(まぁ、いっか!!水ないし!!)
「いただきます!」
食べ方も教えてくれる。
手で魚を持ってかぶりつくという手段でいかにきれいに食べるかを学んだ。
食べ終わると、皿は外に置いて犬に舐めさせておけという。
今使う前もそういう処理をしたあとだったのだろうか。
まぁ、済んだ事だ。
指も犬に舐めてもらおう。笑
「ありがとう。ごちそうさま。」

また色々な話をする。
お互いの人生の話や家族の事。
「そろそろ寝ようか。ベッドの下半分使っていいよ。」
小さな小屋の三分の二を占める大きくはないベッドで、二人して丸まって眠る。

星を眺める代わりに、ひょんな事からおじいさんと一つのベッドで一緒に寝る事になった。
彼は清潔じゃないし、多くを持っている訳じゃない。自分一人の分でなんとか足りる程度の物しか持っていない。
けど、心から相手の事を想って自分の持っている物を人と共有する。すごい事だ。
自分はどこかで暮らす時はできるだけ清潔でいたいけど、そんな事よりも大切な学ぶべき所は物凄く多い。
おじいさんにとっては別にこれは不自然な状態ではなく、彼に取って普通のもてなしを心を込めてしてくれている。自分の分まで分けてくれている。
こんなにありがたい事はない。

昔の人はこの土地でこんな風に暮らしていたんだろうなとも思う。

「一週間ぐらいゆっくりしてけよ。仕事も見つけてやるよ。」
「ありがとう、でも明日には行かないと。今は動く時なんだ。」
「分った、いつでも帰ってこいよ。浜辺に居るから。」
土産だと言って古びたギリシャのコインをくれた。
何よりも嬉しいお土産だ。

帰りの船の中。
おじいさんが若くして自殺してしまったという弟の話をしていた時の、あの悔しそうな顔が頭から離れない。
カモメが船をと並走してすぐ近くを飛んでいる。
何となくカモメは物凄く多くの事を知っていそうな気がした。

ギリシャをもう少し回ってトルコに入ろう。

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