アメリカ・カリフォルニア
今泊めてくれているロッキーがベトナム戦争の話をしてくれた。
笑いながら明るく話してくれたけれど、目の奥にある悲しみが感じられて切なかった。

今でもよく覚えてるよ。
ベトナムに着いたらキャンプがすぐに爆撃されてそこら中に火の手が上がってね。
叫んでるのが聞こえるんだ「早くトラックに荷物を投げ込め!」ってさ。
必死だったからすぐに投げ込んだらトラックは走り去って行った。
その直後に上官から避難の命令が出て荷物が手元に無い事を言ったら「何だとー!!」って怒られたよ。トラックはどこに行ったか分からないし、持ち物の一切と機密情報が入ってたからね。

そのせいで荷物を待っている間飛行場の掃除を毎日させられた。

ある日ようやく荷物が見つかって前線に行く事になった。
その時に与えられた役割は夜の見回りだ。物凄く危険なんだよ。
彼らは殺しを楽しむから。だから頼んだんだ。訓練ではヘリ要員として育てられたから「持ち場が違います!変えて下さい。」ってさ。数週間夜の見回りをした後持ち場の変更が言い渡された。

配属されたのはプールのライフガードだった!
あそこは良かったよ。位の高い軍人や高官が毎日泳いだりパーティー開いたりするんだよ。
僕は監視やったり給仕をやったりさ。ロブスターを渡す度にお金をくれるんだ。現地の子がマッサージにくるんだけどその中の一人がある日僕に言ったんだ。「ちょっとだけ泳がせてよー。」誰もいなかったから言った「10分だけだよ!」ってさ。その子がプールに入った瞬間に高官が来てその持ち場は即首さ。

その次に行ったのは今度こそ予定通りのヘリの上だった。俺の持ち場は機関銃だった。すぐ足下はヘリの外だった。ただ飛んでるときは気持ちよかったよ。足下に景色が広がってさ、虎が見えて驚いた事もあったなぁ。雲が雨粒に変わって落ち始める瞬間とかがよく見えるんだよ。物凄く綺麗だったなぁ。ただ、現実は強すぎる、銃を打ったり、殺したり。友達も本当にたくさん失った。俺はただ単に運が良かっただけだ。死が多すぎる。命を無駄にしすぎてる。戦争なんてするもんじゃない。

ベトナムは別世界だった。サトウキビをその辺で買ってかじったり、へんな食べ物がたくさんあった。見た事も無い植物で溢れて本当に美しい場所だった。

二週間だけ休暇を貰った事もあった。その休暇にフォルモサ、今の台湾か。そこにいったんだ。そこも美しい島だった。中国人がたくさんいたよ。招待された家で出された食事は本当においしかった。そこの家の姉妹が陰に隠れて「アメリカ人だー」っていってくすくす笑ってたよ。

そこではこっそり大麻を売ってたんだ。これは本当に大きな秘密だった。ある橋の下で育てるんだ。裁縫箱の中に入っていて買った時に言われたよ。「絶対に見つからないようにね、捕まったら一生牢に入れられるから。」
バカだろ。けど戦争でPDSD(心的外傷後ストレス障害)になってさ。リラックス出来るのは吸ってるときだけだったんだ。

戦争では本当に多くの友達を失った。子供の頃から知ってる友達も何人も行ってて、戦場でたまに会ったりするんだけど、そんな中からも何人も死んで行った。
本当に無駄が多すぎるよ。不毛すぎる。意味ないよ。

見ず知らずの自分を快く受け入れてくれた温かい夫婦。
ロッキーはしっかりとしながら物腰が柔らかい。
優しい笑顔が印象的。

森の中の小さな家。
静かに夜が更けてゆく。