旅心

『一つの命』

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太陽の光を眺めながら
水の中を降りて行く
温かい音
あぶくが昇っては還る

魚の群れが自由に動き回りながら
瞬間、同調して向きを変える
水は小さな生き物で満たされ
岩は藻や珊瑚に覆われる
目に入る景色全てが小さな無数の命

命は海から来た
人は体の中に赤い海を持って生きている
無数の小さな命を内包して

海が人になり
人だった物が海に還る

海が汚れれば
人が汚れる
人が汚れれば
細胞が汚れる

細胞が体を成すように
無数の命が地球の命を成している
無数の天体の命が宇宙の命を成している
それは無限に続く
永遠に切れない関わり

無限の数の小さな命
無限に巨大な一つの命

海を汚せば
命が汚れる

外を汚せば
内が汚れる

一つの物

宇宙はこんなにも美しい
地球はこんなにも美しい
海はこんなにも美しい
それを映す
人はこんなにも美しい

美しい人の
自然体は
本来の生き方は

あぶくが昇って遠のくように
時代が進んで
変化し
生きて行く

一つの命の中で

-旅心