モロッコ シャウエン ベルベル 着物 伊藤研人

青い街、シャウエン。
フラフラ歩いていると海の中にいるような不思議な感覚になる。

ふと、道端に伝統衣装を着たベルベル人のおじさんと目が合う。
頭からつま先まで目をやって話しかけてくる。
「日本人か?もしかして日本の伝統衣装か!」

そう聞かれる事は分ってた。
旅の中で数え切れないほど尋ねられた事。
だけど、民族衣装を着た現地人に言われると嬉しくなっていつもよりテンションが上がる。
「そうだよ!これが日本の伝統衣装だよ!ベルベルの服もいいけど、日本のもいいだろ!」

おじさんの表情が一気にハッピーになる。
「おおー!ついに日本の文化を体現するやつが現れた!!ここには世界中から観光客が来るけど、どいつもこいつも自分の文化をないがしろにしてアメリカンスタイル!そんなのは在るべき姿じゃないだろ!皆、それぞれかっこいい伝統文化を持ってるのにどうなってんだ!初めて日本の伝統衣装を着たやつに会えて嬉しいよ!」

正直、最初はこのおじさんは観光客向けに伝統衣装を着てるんじゃないかと思ってしまっていた。そんな自分を恥じた。しかし、嬉しさがその感情を遥かに超えた。
「本当だよ!完全に同感だよおじさん!俺は世界中の人々がそれぞれの文化を大事にしながら、異文化同士が尊敬し合って仲良くやっていく世界が見たいんだよ!多様性は本当に美しいと思うんだ!そんな平和な世界みんな好きだろ!だから俺は日本人にもっと着物を着てもらえる機会を増やしたいんだ!日本に帰ったら着物屋さんをやるんだ!」

おじさんもどんどんテンションが上がる!
「それはいい考えだな!!俺はベルベルの服を売ってるんだよ!サムライ用のベルベル服もあるからちょっと見てけよ!」

「いや、それは嘘だろ!商売上手め!笑」
二人で大笑い。